選挙とは民主主義とは直近の民意とは

先日行われた参院選の神奈川選挙区。結果は以下の通りで、現職閣僚である千葉景子法相が落選しました。

 
得票数
候補者
982,220 小泉昭男(自民・現)
788,729 中西健治(みんな・新)
745,143 金子洋一(民主・現)
  696,739 千葉景子(民主・現)
  304,059 畑野君枝(共産・元)
  113,712 木村栄子(社民・新)
  113,453 甲斐敬浩(改革・新)
 
93,437
松田 学(たち日・新)
 
47,776
山本誠一(無所属・新)
 
13,459
加藤文康(幸福・新)

しかし落選した千葉法相はこんなことを言っています。

参院選夫婦別姓、人権擁護は「否定されていない」落選の千葉法相
 千葉景子法相は13日の記者会見で、自身が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正や人権侵害救済機関設置法案(旧人権擁護法案)を推進してきたことが、参院選落選につながったかについて「それ自体が否定されたとは思っていない」と述べた。また、その上で「より前に進めて道筋をつける」と強調し、引き続き実現を目指す考えを示した。
 一方で、「非常に意見が分かれる課題だ。それを是としない方にとってはマイナスの評価になる」とも指摘した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100713/plc1007131710013-n1.htm

肯定もしてないんだが・・・。
今回の神奈川選挙区においては、夫婦別姓外国人参政権などが争点となっていたと言っても過言ではありません。いや、過言かもしれないけど。
自民党の小泉候補は当確が出てからの記者会見で開口一番に「外国人参政権夫婦別姓法案が提出されたら徹底的に論戦を挑む」と話してますし、みんなの党の中西候補も反対です*1。千葉法相と同じ民主党の金子候補にいたっては、選挙公報に「外国人参政権法案に反対〜すばらしい日本を次の世代に〜」と大々的に書いてあります。
これら3候補が当選し、一連の法案に賛成する立場の千葉法相は落選。つまりそういうことです。神奈川県の有権者がNOを突きつけたにも関わらず、閣僚の座に居座っています(首相に辞意は伝えたそうですが留意されたようで)。民間人でも大臣にはなれるので法律的には問題ないのですが、まさに厚顔無恥。留意されてもそこは強く身を引かなきゃ。千葉法相は今月25日で議員の任期が満了となって民間人になりますが、その一民間人に死刑執行の権限があり(やらないだろうけど)、なおかつ“国家解体法案*2”とも呼ばれる法案を推し進めようとまでしています。
民意が無視されるということは非常に恐ろしいことだと思います。民主主義とは、選挙とは、民主党がよく言っていた「直近の民意」とは一体何なんでしょうか。
こういうことを平然とするようでは、菅内閣の今後の政権運営、ひいては民主党の今後にとってもマイナスだと思うんですが。そこまで心配する気は特にありませんが。

【語られぬ争点】(下) わが国をどう変えたいのか 水面下の蠢動 国揺るがす3法案 
 「外国人参政権付与の是非は当時、人権問題としてしか見ておらず、国防上の観点は検証されてなかった。今やこの問題は安全保障の問題。はじめから議論をやり直さなければダメだ」
 5月の憲法記念日。都内で開かれた講演会に永住外国人地方参政権付与の推進論の理論的支柱だった、長尾一紘中大教授が招かれた。長尾氏は自説の誤りや法案の危険性にあらためて警鐘を鳴らした。
 全国の地方議会では参政権付与法案への反対決議が拡大した。底流には国家の意思決定が外国勢力にゆがめられることへの危機感がある。
マニフェスト意に介さず
 「マニフェストに載っていないことが特段問題になることはない。一貫して党として取り組み、提起してきた。突然消えてしまうことではない」
 6月29日、千葉景子法相は外国人地方参政権や人権侵害救済機関設置法案、選択的夫婦別姓を伴う民法改正案がいずれも参院選マニフェストに不記載でも選挙後、成立に向けた取り組みを変わりなく進める意向を表明した。3法案はもともと民主党左派の悲願とみられる施策だ。
 しかし、3法案はいずれも重大な問題をはらんでいる。例えば強大な権限を持つ人権救済機関が、人権を擁護するのではなく個人の社会的な抹殺を図り、「密告社会」をもたらすといった疑念が根強いからだ。思想や言論に対する統制が強まり、新たな人権侵害をもたらすといった批判も払拭されていない。
 夫婦別姓にも疑問がくすぶる。夫婦別姓とは親子が別々の姓を名乗ることで、「○○家」というまとまりは廃れていく。家族という絆や一体感、祖先を敬う日本人が大切にした伝統的な価値観などが失われていく恐れもあるからだ。
 人権救済機関について民主党参院選マニフェストへの記載を見送ったが、法務省では政務三役が国会閉幕後の6月22日、早期成立に向けて政務三役の検討結果をまとめた「中間報告」を公表。成立に向けた作業は着々と進んでいる。
依然くすぶる警戒感
 夫婦別姓参院選の公約で賛成と明記したのは、公明、共産、社民。反対は自民、国民新、たちあがれ日本などで、みんなの党民主党同様、触れていない。
 しかし、民主党への警戒感は根強い。推進的な立場に立つ千葉法相の意欲的な発言もあるが、昨年の衆院選でも外国人参政権夫婦別姓についてマニフェストへの記載がなかったにもかかわらず、政権が発足すると導入に向けた検討が打ち出された経緯があるからだ。「民主党政権マニフェストに記述はなくても関係なく進めるだろう。法案を提出すれば、民主党が割れても公明党などの賛成で成立できると踏んでいるのではないか」(反対運動団体幹部)。
妙な発言
 「10月以来、鳩山さんと話をしているのは(略)21世紀は、近代国家をどういうふうに解体していくかという100年になる(略)。しかし、政治家は国家を扱っているわけですから、国家を解体するなんてことは、公にはなかなかいえないわけで、(それを)選挙に負けない範囲で、どう表現していくか。これが僕の立場だ」
 4月15日の参院総務委員会。ここで、2月に都内で開かれた、あるシンポジウムでの鳩山前内閣のブレーンで劇作家、平田オリザ氏の発言が取りざたされた。
 シンポジウムのテーマは民主党が掲げている「新しい公共」。この発言を受けて、松井孝治官房副長官と平田氏の間で次のような妙なやりとりがなされたのだった。
 鈴木氏「要は主権国家が、国際社会とか、地域の政府連合に、自分たちの権限を委託する流れだ」。
 平田氏「国にやれることは限られるかもしれませんという(略)実はすごく大きな転換を、すごく巧妙に(略)(演説に)入れている(略)」
 発言を額面通り受け止めれば、民主党政権は国家の基盤を解体する明確な意図を持ち、国民には「選挙に負けない範囲」で隠しているということになる。3法案も同じ狙いで進められているのか。「新しい公共」という聞き慣れない言葉も、国民に向けて十分な説明はない。彼らはわが国をどう変えるつもりなのか。こうした疑問が選挙の争点となることもない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100709/elc1007092317006-n1.htm