その時歴史が動いた

 新世代DVDの規格争いで、東芝が「HD−DVD」(HD)から撤退する方向で最終調整に入ったのは、対立する「ブルーレイ・ディスク」(BD)陣営に販売戦略で差をつけられ、ヤマ場だった昨年の年末商戦で惨敗したためだ。互換性のない両規格が長期にわたって併存し続け、「消費者不在の争い」と指摘されてきたが、東芝の撤退で終止符を打つ。
 新世代DVDは、現行DVDでは録画・再生が難しかったフルハイビジョン映像に対応できる高画質が特徴。画質ではHD、BDに大きな差がないにもかかわらず、販売シェアではBDが米国で約8割、日本で9割超を占めHDを圧倒する。
 BD陣営の中心であるソニーは、家庭用ビデオの規格争いでベータ方式を推進し、VHS方式に対抗したが、支持されず撤退を余儀なくされた苦い経験を持つ。これを踏まえ、新世代DVDでは、松下電器産業、シャープ、日立製作所など主要メーカーをBD陣営に引き入れ、強力な販売網で売り場を抑えた。
 さらにソニーは家庭用ゲーム機「プレイステーション3」にBD再生機能を付け、消費者に買い得感を広めることにも成功した。
 HDは構造が現行のDVDに近く、低コストで生産できるため、価格が安い。東芝はこれを武器に米国を重点に普及を図ったものの、販売力の差を埋められず、終始劣勢から抜け出せなかった。
 東芝は「販売で差がつけば、映画会社や小売業界のHD離れが加速する」(東芝幹部)と危機感を募らせ、昨年末には米欧で値下げして巻き返しを図った。だが、HD、BD両陣営に映画ソフトを供給してきた米映画大手ワーナーブラザースがBD支持を決定するなど、映画会社や小売り大手が雪崩を打ってBD陣営に流入し、その流れを止めることはできなかった。
 東芝の撤退で新世代DVDの規格争いはBD勝利で決着する見通しとなった。ただ、互換性のない二つの方式が併存していた現状が消費者に敬遠され、新世代DVDの普及は開発当初にメーカー側が期待したほどには進んでいない。メーカーのメンツ争いで統一規格が見送られ、双方が激しい消耗戦を繰り広げてきた結果、東芝の撤退という形で幕を閉じる。
毎日新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080217-00000000-mai-bus_all

素人目ですが、ソニーパナソニック・シャープといった時点で、撤退も時間の問題かなぁと思ってました。HDD内蔵レコーダーは2台(2代)続けて東芝製を使っているので、よほどのことがない限り、できるなら次も東芝製を使いたいです(メーカーを変えると操作に慣れるまで面倒なので)。その、「よほどのこと」のひとつが無くなったので、次に買うのは数年後、ブルーレイ搭載のVARDIAになるのでしょうか。
ただ、HD DVDの損失は数百億円規模だそうで、ブルーレイ開発・製造のため新たに投資するのも大変そうです。OEMで調達するのでしょうか。それとも、全撤退???

2月16日夜、NHKが「東芝HD DVD撤退で調整」というニュースを報じた。1月のワーナー離脱やBDの寡占進んだ後も、HD DVD撤退の動きはなく、あまりに唐突な情報という印象がぬぐえない。しかし、根も葉もないニュースかと言えば、それも違うようだ。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0802/16/news011.html

こちらのサイトによると、液晶テレビやレコーダーを手がける東芝デジタルメディアネットワーク社が撤退と決めたわけではなく、東芝本社が「撤退で調整」と、株価に影響のなく日曜日の新聞に間に合う土曜日にリーク、月曜日までに既成事実化し、撤退の方向に持って行くシナリオだそうです。
【追記】東芝液晶テレビが「REGZA」から「DOGEZA」に変わったようです(嘘)。

――BDとHD-DVDの趨勢はいつごろ決まるとみているか。
 HD-DVDはパソコンなどに搭載するドライブも含めると全世界で今年度100万台を超える期待を持っている。来年度は数百万台の出荷を予定している。今年(2006年)の暮れ、来年の6月には趨勢が決まるだろう。
 もちろん、BDの方が規格として優れている可能性がないわけではない。そのときには土下座して謝りたい。しかし、HD-DVDの優位性を信じている。商品の技術、コスト、速さの勝負になると思う。今年の年末を期待してほしい。
http://it.nikkei.co.jp/digital/special/disk.aspx?n=MMITea013031032006