聚楽第

京都について調べていると、よく「聚楽第の遺構」や「伏見城の遺構」という説明書きを見かけます。記事によれば西本願寺大徳寺南禅寺、金地院、妙覚寺などだそうで。

↑画像は金地院の庭園。斜めにしないと全景が収まらなくて。いや、全然収まってないけど。
金地院は南禅寺塔頭で、南禅寺の住職を務めたのは金地院崇伝(以心崇伝)、で「黒衣の宰相」とも呼ばれた人物。徳川家康に登用され武家諸法度禁中並公家諸法度を制定しました。豊臣家滅亡のきっかけとなった「国家安康」「君臣豊楽」は崇伝らの画策とも言われています。詳しくは「方広寺鐘銘事件」で検索してみてください。
ここら辺は学校でも習ったと思います。歴史って楽しいですよね。ほら、京都に行きたくなってきた。

一体いずこへ…秀吉の「聚楽第」、わずか8年の栄華の末は?
 全国を統一し、朝鮮半島にまで兵を進めた豊臣秀吉。その権勢を天下に示すために京都に造営したのが城郭「聚楽第(じゅらくだい)」だった。周囲1・8キロ、重層の天守を誇ったという。
 しかし、秀吉自身が取り壊しを命じ、建物があったのはわずか8年間。現在、京都市内には遺構とされる建物がいくつか残るが、いずれも聚楽第に結びつく確証はなく、秀吉の城郭は依然ベールに包まれている。
 信長の跡を継いだ秀吉は天正13(1585)年、関白に就任。邸宅を京都に設けることを決め、翌年造営工事を開始した。
 建設地は、かつて天皇が住んだ平安京大内裏の跡(京都市上京区)。城郭は幅30メートル以上の堀に囲まれ、内部には天守のほかに二の丸など多くの施設があったとみられる。金がふんだんに使われていたといい、イエズス会の宣教師、ルイス・フロイスは著書「日本史」の中で「壮麗で、感嘆せずにはいられない」と記している。聚楽第には後陽成天皇行幸した。
 だが、秀吉の跡をついで関白となったおいの秀次の失脚後、聚楽第は秀吉自身の命令で取り壊される。このとき、建物のいくつかは造営中だった初代伏見城伏見区)に運ばれたほか、寺院などに寄進されたものもあったとされ、現在も聚楽第の遺構と伝えられる建物が残っている。西本願寺飛雲閣(国宝、下京区)や大徳寺の唐門(同、北区)、南禅寺塔頭(たっちゅう)「金地院(こんちいん)」の本堂(重要文化財左京区)、妙覚寺の大門(上京区)などだ。
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 飛雲閣西本願寺境内の南東隅にある楼閣建築。唐破風入母屋(からはふいりもや)、寄せ棟などの建築スタイルを取り入れた変化に富んだ名建築といわれる。
 しかし、最近では建築学的に聚楽第の遺構とすることに否定的な見方が強まっており、寺側も聚楽第の建物という可能性は否定できないとしながらも、調査から建築年代は江戸初期の1615〜1623年の間とみている。
 また大徳寺の唐門は、動物や雲など華麗な彫刻、文様が施された金具の見事さに特徴があり、「日ぐらし門」とも呼ばれている。だが、こちらも聚楽第の遺構の裏付けはない。
 一方、初代伏見城(指月城)は、完成4年後の慶長元(1596)年に大地震で倒壊。城はその後近くの木幡山に再建されるが、慶長5(1600)年、徳川側の攻撃で焼失し、豊臣期の建築はこのとき失われたとみられる。
 川上貢・京都大学名誉教授(建築史)は「飛雲閣聚楽第の遺構と伝えられているが、確証はない。大徳寺の唐門についても、装飾の多い派手な建築だが、根拠はない。伏見城に移築された建物も、地震などで失われたと考えられ、現在、聚楽第の遺構とわかる建物は残っていないだろう」と語る。
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 聚楽第の遺構と伝えられる中には、邸内社として創建された出世稲荷神社上京区)もある。
 江戸初期の寛文年間に千本通沿いの現在の場所に移築されたといわれているが、「本殿は確実に近代の遺構」(京都市文化財保護課)という。
 同課も「聚楽第の遺構と伝えられる建築で、そのことを裏付ける確証があるものはない」としている。
 秀吉が住んでいた当時、聚楽第の周辺には大名屋敷が立ち並び、栄華を極めたという。これまでの発掘調査では、金箔(きんぱく)を張った軒丸瓦や天目茶碗(ちゃわん)などが見つかり、その一端をうかがわせるが、栄華をしのぶ建築を確認することはこれからも難しいようである。(野崎貴宮)
 ■聚楽第 豊臣秀吉が京都に築いた大邸宅。政庁の機能も持ち、邸内には重層の天守があった。遺構はほとんど見つかっていない。造営工事は数万人を動員して天正14(1586年)年2月から始まり、翌年9月にほぼ完成。工事は九州平定を進める中、大阪城の修築と並行して進められたという。完成を祝って16年4月14日から5日間、後陽成天皇行幸天皇は贅(ぜい)をつくしたもてなしを受け、この席で徳川家康前田利家らの家臣は秀吉への忠誠を誓わされたという。聚楽の意味は「長生不老の楽を集める」と考える説もある。
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